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異臭
名神も米原ジャンクションを過ぎた頃だった。かなりのスピードで私を抜いていった白い車があった。ま、だいたいはこちらは軽自動車なのでほとんどの車が抜いていくのだが、その車は何をそんなに慌てているのかと思うぐらい、走っている車の間を縫うように走っていた。と、その時、車の車内に異様な臭いが立ちこめた。「オーバーヒートだ!」。慌てて温度計へと目をやる。「ん、変だな正常だ」。でも、この臭いは間違いなくオーバーヒートの時に出る車独特の臭いである。それも、オーバーヒートの初期状態である。頭をかしげる。他には特に変な異音・異臭などは発生していない。異臭はさっきより強くなってきている。オーバーヒートになるような原因を色々と考えているとだんだんとわかってきた。「さっきの白い車だ!」。そう、さっき凄い勢いで抜いていった白い車がオーバーヒートの初期状態だったんだということが分かってきた。臭いをまき散らしながら走っていたのである。運転手も長くやっていると、色々と分かってくるものである。まわりの車の運転の悪癖や異常さがだいたい分かるようになる。ラインどりの悪い車。タイヤの空気圧やバランスの悪い車。その他、ちょっとでもいやな感じのする車は近寄らないようにしている。それから暫く走っていると路肩にその白い車は止まっていた。案の定ボンネットを開けて、白い湯気を立てていた。「やっぱり、そうだったか。」でも、運転手は無事そうで車の後に立っていた。私は「エンジンロックしなくて良かったね」と呟いた。もし、していたら白い車の運転手だけではなく、後を走っていた車に相当の被害が出ていたはずだから。白い車の運転手には災難だったと思うが、命があった。
居た
薄日が差している午後である。幾度となくお邪魔している会社への配送である。馴れた高速、見慣れた町並み、馴れた田舎道を走り、いつもの会社の守衛所前へと車を止める。
この会社の工場は日本全国にあり、言われれば名前ぐらいは誰でも知っているという会社である。その中でも特にこの工場は全国でも珍しい特別な生産方式をいち早く取り入れた工場として、テレビなど様々な媒体で幾度となく紹介されている会社である。そんな工場の守衛所前に車を止めると「居た」。いつも居るわけではない。何度となく来ているが、会うことは珍しく、過去に4〜5回というところだろうか。でも会うと何となく「ホッと」する感じがいい。いつもどこからかフラッと現れる。見た目はけして綺麗ではない。しかし、誰に媚びるわけでもないその立ち居振る舞いは悠然としている。守衛所勤務の女の方にはちょっと嫌われているようだったが、誰かからいじめられるというようなことはないようで、守衛所で入門許可申請の書き込みをはじめた私の側近くへ来て座り込んだ。ちょうど薄日が差しているところだった。ここは守衛所前、幾人もの人間が出入りしているのだが、誰も気にすることもなく、誰も邪魔にすることもなく前を通っていった。そしてそれはいつものことなのだろう、そいつは目を閉じて座り込んだまま、頭さえも動かすことなくずっとそこに居た。この会社は入口と出口が違う。その後そいつに会うことはなく私はそこを後にした。きっと、また会えるだろう。
雪が降るときは
雪ふりしきる中、関越道を新潟に向けて出かけたときのことです。タイヤとチェーンのチェックということで谷川岳PAに入れられました。どうせだからトイレ休憩と止まっていたときのことです。私の小さな車が誰も乗っていないはずなのに動いていました。側に止まっていた大型トレーラーのキャリアカーに引っかけられて、ズルズルと動いているのに大型トレーラーの運転手は気がつきません。あわてて雪の中へ飛び出して、大型トレーラーを大声あげながら止めました。いくら小さな車だからって、薄暗い駐車場だからって、気がつかなかったなんて、ひどいですよ!。雪が降る地方で雪が降ると、限って多くなるのは他県ナンバーの事故で、この時もあちらこちらで事故があり、警察を呼んでも来るのは1時間もかかるとの事。こっちも仕事だし、お客様の荷物を急いで届けないといけないし、しょうがないので運転していた若い運転手とは示談で話はつけた。しかし、運転席のドアはすき間が空いてしまい、雪が入り込んでくる始末。ヒーターを全開にしても車内は寒く、フロントガラスは暖かい空気が出ている所から15センチが10センチとなり、最後には3センチ位までしか曇って見えなくなるし、外についた雪は凍りついてワイバーは動かなくなるし、と、ちょくちょくPAなどに止まって雪と曇りを取りながら必死に走って仕事は完了させた。帰りに警察に届けておかなくてはと、越後川口SAのインフォメーションのお姉さんに昨夜の事情を話し、高速隊の場所を教えてもらった。雪国の人は本当に親切と頭から思いこみたいくらいにやさしく丁寧に教えてくれた。ゆっくりとおみやげを見ていられなかったのが残念だったが。又、高速隊の方も親切で、「雪国の人は雪が降るときは外へ出ないですヨ」と明るくおっしゃってくれたのを、私は「そりゃ〜もっともだ」と深くうなずいてしまいました。本当に思いやりのある態度でうれしかったです。越後の方々。
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